
愛でしか作ってません
- 後藤田 ゆ花
- 講談社
- 1470円
livedoor BOOKS
書評/国内純文学


先日ソノシートで有名な朝日ソノラマが倒産を発表しました
幸い出版事業は親会社である朝日新聞社が引き継ぎ、既刊本も即絶版になるという可能性は無く、
新刊も出版されそうです
出版業界は現在も出版社の倒産や雑誌の休刊も少なくなく、取り巻く状況は好調とは言い切れません
そんな出版不況の中で去年、関連会社の倒産の影響を受けて、連鎖倒産した出版社がありました
BL業界では最大手と言える出版社だったので、突然の倒産情報にはビックリしたし、
また出版されていた雑誌や出版物には好きなものが多かったので、連載途中のものや出版物が
どうなるのかすごく不安だったのも覚えています
その後ある企業が出資し、新会社が設立され、異例とも言えるわずか数ヶ月でこの出版社の雑誌やレーベルが復活した時には再度驚き、同時に素直に喜びました
この実際の出版社の倒産劇を基に書かれたのが、この『愛でしか作ってません』
著者は倒産した出版社の元編集者で、自分たちの会社を襲った突然の倒産劇の顛末を一応フィクションという形で書いています
全体の感想としては、最初から最後まで自己満足で書かれた本だなあというものです
唯一良いなと思える場面は倒産前夜に原稿を差し押さえられないために作家に返却したり、最後の雑誌の全プレを読者に届けるために編集部で徹夜で作業する場面
それ以外は要所要所で「私たちの本はこんなにスゴイのよ」「私は編集者としてこんなにスゴイのよ」
「私たちはこんなに頑張ってるのよ」「突然の不幸だけど私、くじけない」
といった自己愛と自己憐憫が見え隠れしていて、読んでいて少し不快でした
フィクションと銘打つなら、もっと徹底してフィクションにしてほしかったし、実際の倒産劇を基にしているならもっと客観的に書いて欲しかったです
自分たちの編集部と雑誌を丸ごと買い取ってもらうために行脚する先の出版社は一部をイニシャルに変えただけで、どの出版社を指しているかすぐに分かるんですよね
1社だけBLジャンルをこき下ろした出版社だけは、何か事情があったのか、どこかはすぐには分からない様になってるんですが、そういうところも中途半端
どうせ書くなら徹底的に書いて欲しかったと思うのは贅沢なのかな?




